子宮頸がんは女性特有のがんで、20~40代の女性が発症することが多いとされている病気です。子宮がん検診での早期発見により生存率が高まるほか、最近はワクチン接種も予防法のひとつとして挙げられます。

子宮頸がんとは?

子宮は洋梨を逆さにしたような形の袋状の臓器で、上部は卵管、下部は腟とつながっています。

子宮の詳細

子宮がんは子宮の入り口にできる「子宮頸がん」と、子宮の奥にできる「子宮体がん」の2種類に分類されます。

このうち、子宮頸がんは子宮の入り口である子宮頸部にできるがんのことです。比較的若い年代に多くみられ、国内の罹患数は年間約11,000例と報告されています(2019年)。年代別にみると20代から罹患率が上昇し、40代でピークに達します。その後は、年齢とともに下降していきます(出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録))。子宮頸がんになる人が増える年代と妊娠・出産をする年代が重なることから、出産を望む方はとくに気をつけたい病気です。一方で、早期発見ができれば寛解(かんかい)を目指せるがんとしても知られています。

厚生労働省の報告では、がんの発生を部位別に集計しています(上皮内がんを除く)。
その結果女性では下記のようになっています。

  • 乳房(22.5%)
  • 大腸(結腸・直腸)(15.7%)
  • 肺(9.8%)
  • 胃(9.0%)
  • 子宮(6.7%)
全国がん登録数 疾患数における部位割合(女性)

出典:厚生労働省「平成31年(令和元年)全国がん登録 罹患数・率 報告」罹患数における部位割合(女性)

ポイント

  • 子宮がんは女性特有のがんであり、「子宮頸がん」と「子宮体がん」の2種類に分けられる
  • 子宮頸がんは20代から増加し、40代で発症のピークを迎える
  • 初期の段階で発見できれば寛解(かんかい)も期待できる。そのためには、定期的にがん検診を受けることが重要

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子宮頸がんの原因・症状

原因

子宮頸がんの原因はおもに、性交渉でHPV(ヒトパピローマウイルス)に感染することです。

HPVは、男女問わず感染するごくありふれたウイルスで、たとえ感染しても90%以上は2年以内に自然排出されるといわれています。

しかし、排出されず感染した状態が長期間持続すると、子宮頸がんの発症リスクになるのです。

症状

子宮頸がんは、早期の段階ではほとんど自覚症状がありません。
進行するにしたがって、以下のような症状が出現します。

  • 濃い茶色の膿のようなおりものが増える
  • 生理時以外の出血(不正出血)
  • 性行為の時の出血
  • 下腹部や腰の痛み
  • 尿や便に血が混ざる

症状は人によって異なり、これらの症状があったからといって断言はできません。体調の変化に気付けるよう、普段から自分の体を理解しておきましょう。

ポイント

  • 原因の多くはHPV(ヒトパピローマウイルス)への感染
  • 早期には自覚症状がなくても、徐々におりものの異常や出血、下腹部・腰の痛みなどの症状が現れてくる
  • 日ごろから自分の健康状態を把握し、体調の変化に気付けるようにすることが大切

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子宮頸がんの手術・治療法・生存率

手術・治療法

日本での子宮頸がんの治療法は、「手術療法」「化学療法」「放射線療法」の3本柱で成り立っており、この3種類の治療法を単独、または組み合わせて治療を進めます。

治療方針

治療方針は以下の要素を考慮し、患者ご本人とご家族、主治医で相談して決定します。

  • 子宮頸がんの進行度(ステージ)
  • 患者の年齢
  • 治療後の妊娠希望
  • 持病の有無

妊娠・出産に欠かせない臓器のため、ライフステージによって今後の治療方針に違いが出てくるのです。

治療法と適応ステージ

それぞれの治療法についてご説明します。

治療法 詳細 適応ステージ
手術療法 子宮部分切除や子宮全摘出術などで根治を目指す Ⅰ~Ⅱ期
(比較的早期段階)
化学療法 抗がん剤を投与し、がん細胞を死滅させる 主にⅢ~Ⅳ期
放射線療法 高エネルギーのX線やガンマ線などの放射線を用いて、がん細胞を破壊 全段階
他療法との併用が多い

早期の段階で発見できた場合は根治を目指し、手術にて病変組織を摘出する治療法をとることが一般的です。たとえ進行しているがんであっても、まず化学療法や放射線療法にて病変組織を小さくしてから摘出手術を行うケースもあります。

なによりも重要なのは、早期発見により治療の選択肢を広げられるということです。

生存率

5年相対生存率という用語をご存じでしょうか。
国立がん研究センターによると、5年相対生存率とは以下のとおりになります。

あるがんと診断された場合に治療でどのくらい生命を救えるかを示す指標の一つで、異なる集団や時点などを比較するために慣例的によく用いられます。あるがんと診断された人のうち5年後に生存している人の割合が、日本人全体*で5年後に生存している人の割合に比べてどのくらい低いかで表します。100%に近いほど治療で生命を救えるがん、0%に近いほど治療で生命を救い難いがんであることを意味します。
* 正確には、性別、生まれた年、および年齢の分布を同じくする日本人集団
出典:国立がん研究センターがん情報サービス

子宮頸がんの各ステージ

各ステージがどういった状態なのかをご紹介します。

子宮頸がんの各ステージと詳細

ステージ 詳細
ステージⅠ がんが子宮頸部にとどまっているもの
ステージⅡ がんが腟または子宮周囲組織に広がっているが、進行が高度ではない
ステージⅢ がんが子宮周囲組織に広がり、進行が高度なもの
ステージⅣ がんが膀胱または直腸に進展するか、遠隔転移を生じている

がんのステージはⅠからⅣまで分類され、ステージが進行するほど生存率は低下します。ステージⅠが95.6%、ステージⅡが79.6%、ステージⅢが64.7%、ステージⅣが26.0%という数字が表すように、ステージⅠとステージⅣでは5年相対生存率は大きく異なります(出典:国立がん研究センターがん情報サービス「院内がん登録 2013-2014年5年生存率集計」)。

この表から子宮頸がんの治療は早期発見・早期治療がいかに重要であるかがわかります。

ポイント

  • がんは進行度によってステージⅠからⅣまで分類される
  • ステージが進むにつれ、生存率は下がっていく。

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子宮頸がんの検診、早期発見・対策

繰り返しますが、子宮頸がんは早い段階で発見することが極めて重要です。がんの早期発見・早期治療につなげるために、定期的に子宮がん検診を受けることをおすすめします。

子宮がん検診では、現在の病状や既往歴、検診受診状況などについて問診を行い、子宮頸部をブラシなどで擦り細胞を集め、顕微鏡などで異形成細胞やがん細胞がないか調べます。
人によっては痛みを感じることもありますが、ほとんど痛みはない検診です。検査の結果は1ヶ月程度で通知されることが多いです。

20歳以上になると2年に1度は、子宮がん検診を受けるよう推奨されています。
費用は原則、全額自己負担となります。お住まいの自治体によっては検診費用の助成制度があり、一部または半額助成や全額助成を受けられます。助成についての詳細は、自治体のウェブサイトでご確認ください。

また、子宮頸がんの原因であるHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染はワクチン接種で予防することができ、現在小学6年生~高校1年生の女子は全額公費で接種が可能です。
ワクチンには作用はもちろん、副作用も存在します。作用・副作用をよく理解したうえで接種を検討してください。

ポイント

  • 早期発見のために、20歳を過ぎたら2年に1度は子宮がん検診を受けておきたい
  • 検診の費用は原則全額自己負担。自治体によっては助成制度を利用できることも
  • 子宮頸がんの原因となるHPVの感染はワクチン接種で予防できる 。ただし、副作用があるので十分に検討すること

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Q&A

子宮がん検診はなぜ2年に1度の頻度で受けることが推奨されているの?

子宮頸がんは進行が比較的緩やかなため、2年に1度でも有効だといわれています。実際に子宮頸がんの発見としては、2年に1度の検診と、毎年の検診とではほぼ差がないことがわかっています。

ヒトパピローマウイルスに感染すると必ずがんになるの?

子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルスは、男女ともに感染するごくありふれたウイルスです。
性的接触のある女性の50%程度が一度は感染したことがあるといわれているのです。たとえ感染しても、人間のもともと持っている免疫で排出できるのですが、免疫の低下や感染期間が長期にわたるとまれに細胞ががん化してしまいます。そのため、ヒトパピローマウイルスに感染すると必ずがんになるのではなく、子宮頸がん以外に男性の陰茎がん、さらに男女を問わず喉頭がんなどを引き起こすことがわかっています。これらはワクチンにより予防できると考えられています。

まとめ

がんの早期発見・早期治療につなげるためには、子宮がん検診を定期的に受診することがとても大事です。

そしてなにより、日常でのわずかな体調の変化を見逃さず、「なにか変」だと思ったら迷わず医療機関を受診することが重要になります。少しでも不安があるときは、ご自身の安心のためにも受診を検討してください。

この記事の監修医師

上 昌広
医療法人鉄医会ナビタスクリニック

専門領域

内科, 内分泌代謝科, アレルギー・膠原病内科, 神経内科, 肝胆膵内科, 消化器内科, 総合内科, 血液内科, 腎臓内科, 循環器内科, 感染症科, 糖尿病内科, 呼吸器内科, 医療データ, 腫瘍内科

経歴

1993年 東京大学医学部医学科卒業、1999年 東京大学大学院医学系研究科修了、1999–01年 国家公務員共済組合 虎の門病院 血液科医員、2001–05年9月 国立がんセンター中央病院 薬物療法部医員、2010年7月16日-2016年3月31日 東京大学医科学研究所 先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門 特任教授、2016年4月4日~現職(2023年5月現在)

保有免許・資格

医学博士

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