写真右:川村元気(映画プロデューサー、小説家)、写真左:岩瀬大輔(ライフネット生命保険株式会社代表取締役社長兼COO)

写真左:岩瀬大輔(ライフネット生命保険 社長)、写真右:川村元気(映画プロデューサー、小説家)

みんなが知りたいお金の話、知っておくべきお金の話。岩瀬大輔が「お金のプロフェッショナル」の方々に、直接インタビューしてまいります。今回は、最新小説『億男』が話題の映画プロデューサーであり小説家の、川村元気さんに「お金と幸せ」についてお話を伺いました。

■質素な王族は「何が幸せか」を知っている?

岩瀬:川村さんの書かれた『億男』は、宝くじで3億円を当てた図書館司書の男が「本当の幸せとは何か」と葛藤する様子を描いた小説ですが、映画プロデューサーとあってストーリーが細かく作り込まれていますね。「お金がたくさんあるからといって幸せになれるとは限らないんだよ」というようなメッセージって、そのまま言葉にしてしまうとどうしても安っぽくなってしまうけど、『億男』は物語としてパッケージになっているから面白いし、「自分ならこうする」とか、「こんなことを言うだろう」とか、いろんなことを考えました。

川村:大事なことはストーリーで伝えるのが一番だと思っています。ストーリーには、人に考えさせる力があるからです。僕は子どもの頃、親や先生からああしろこうしろと言われたことは、なかなか身に付かなかった。でもストーリーで伝えられたことは、ちゃんと理解して覚えました。お金との上手な付き合い方も、マニュアルだけではわからないことが多いんじゃないかと思って物語にしてみました。僕は伊丹十三監督の『マルサの女』が好きで、いつかお金のことを題材にした映画を作りたいと思っていたのですが、なかなかいい原作が見つからなくて、それで自分で書いたというのもあります。

岩瀬:映像でもぜひ見てみたいです。話の中ではさまざまなタイプの億万長者が登場しますが、モデルとなっているのは川村さんの身近なところにいる億万長者の方々ですか?

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川村:そうですね。僕は20代から映画業界にいることもあって、著名人にお会いする機会には恵まれていました。そして不思議なことに、僕はお金持ちの人から好かれるようなんです。僕がお金持ちの人とは異なる価値基準を持つ人間だから、それが逆に良いのかもしれません。いろんなパーティーに連れていってもらいながら人脈ができて、この本を書くにあたっては120人の「億万長者」に取材しました。実名は出せませんが、誰もが知っている有名な方ばかりです。

岩瀬:ベンチャーの経営者の中にも、一度に億単位の大金を手にした人が結構います。ただ、お金を上手に使っている人は、あまり知りません。『億男』の中でも、「うまくお金を使うことは、それを稼ぐのと同じくらい難しい」というビル・ゲイツの言葉が引用されていますが、「上手なお金の使い方」って、どういうことだと思いますか?

川村:王族の人たちが参考になるんじゃないでしょうか。彼らはある意味、お金持ちの完成形だと思います。ある日突然大金を手に入れたのではなくて、毎日少しずつ水を貯めるように、長い時間を掛けてお金を貯めてきた。彼らは一歩ずつ階段をのぼる過程で、必要な物を必要なだけ揃えて生きていくということが最も幸せな生き方だということを知ったのでしょう。その生活は意外に質素なことが多いですよね。それに対して、階段をジャンプしてあっという間に大金持ちになった人たちは、本当の幸せとは何かということがわからないままそうなってしまっていると思います。それが本当に必要なのか、本当に好きなのかどうかも考えないで、とりあえず高級車や豪邸を買って、高級ディナーを食べに行く。そんな人が多いような気がします。

岩瀬:「幸せ」がこの本のテーマでもありますけど、僕は友人のフェイスブックなんかを見ていて、仕事も頑張りながら、週末には釣りだとかDIYだとか自分の好きなことにのめり込んでいる人がとても幸せそうに見えます。川村さんはどんな人が幸せだと思いますか?

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