写真左:鈴木琢也さん(学校法人グロービス経営大学院)、右:徳山正一(ライフネット生命保険)

写真左:鈴木琢也さん(学校法人グロービス経営大学院)、右:徳山正一(ライフネット生命保険)

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中学で不良になり、高校卒業後はとび職へ。しかし一念発起し、英単語の「Something」も知らなかったのにアメリカでも屈指の名門大学に留学を果たす――。そんな劇的なキャリアを持つのが、現在はグロービス経営大学院に勤務する鈴木琢也さんです。

昨年10月には、自身の体験を綴った『バカヤンキーでも死ぬ気でやれば世界の名門大学で戦える。』を上梓した鈴木さん。ブームとなった「ビリギャル」を超えるサクセスストーリーとして、幅広い層から多くの反響を呼びました。

『バカヤンキーでも死ぬ気でやれば世界の名門大学で戦える。』(ポプラ社)

『バカヤンキーでも死ぬ気でやれば世界の名門大学で戦える。』(ポプラ社)

実は、ライフネット生命にも鈴木さんと似たキャリアの社員がいます。高校中退から大学の法学部に合格し、当社の新卒入社3期生となった徳山正一です。互いに元ヤンキーということもあり、鈴木さんの著書には非常に共感できるところがあったといいます。

ヤンキー時代 写真左:徳山、右:鈴木さん

ヤンキー時代 写真左:徳山、右:鈴木さん

そこで今回は、鈴木さんと徳山の対談を実施。逆転人生を支えたモチベーションについてうかがっていくつもりが……、意外なことに、話題は「ヤンキーのすごさ」へと及んでいきました。

■高校の偏差値30台からの一念発起

徳山:ライフネット生命の徳山です。鈴木さんの本は友人にも「読め!」と贈ったりするくらい感動しました。僕も同じような経験があるので、書かれている心情が全部わかるというか、本当に共感したんです。

鈴木:ありがとうございます。自分で宣伝するのが得意なほうでないので、そう言っていただけるとすごくうれしいです。

徳山:本に書かれていますけど、僕も中学校のときに不良になって、高校も偏差値36くらいの学校しか行けませんでした。

鈴木:まったく同じです。測れるレベルでのミニマムの偏差値ですよね(笑)。そんな高校に通っていましたから、卒業後の将来設計なんて全然考えていなくて、「一番稼げそうだから」という理由だけで、とび職人になりました。

徳山:僕は先生方から「この学校よりもいいところがある」と言われて中退して、通信制の高校に編入しました。ただ、そこでも素行が変わることなく、バイトをしては遊ぶ生活を送っていました。将来への危機感はあったんですけど、何をしたらいいかはわからない。でも、ピザ屋でバイトをしていたとき、そこの店長にとても影響されまして……。

鈴木:記事に書かれていた「1次関数」(※)の話ですよね?

高校中退から大学合格 きっかけは「人生の一次関数」(ライフネットジャーナル オンライン)

徳山:そうです! 店長も昔は荒れていた方で、当時の僕に似たようなものを感じたのかもしれません。その店長から「人間はいつでも変われるんだ!」と熱心に説かれ、19歳のときに一念発起して大学受験することにしたんです。

鈴木:僕も自分の将来を意識したのが19歳のときで、一番のきっかけは父親でした。外資系保険会社の営業マンだった父の仕事がうまくいくようになり、ハワイの表彰式に家族で出席することになったんです。そこで初めて「父の背中」というものを感じて、自分もこんな風に仕事に情熱を持って働きたいと思うようになりました。

そこで最初は専門学校に通い、情報処理の国家資格を取りました。卒業後はIT企業の法人営業になり、2年間働きました。でもリーマンショックがあって人員整理が始まり、自分もこのままではまずいと感じたんです。それでもう一度、本気で勉強することにしました。

■ヤンキーに教えられたリーダーシップの極意

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徳山:アメリカの大学を目指したのはなぜですか?

鈴木:最初は単純に「どうせなら一番いい大学を目標に」ということで、東京大学を目指すつもりだったんですよ。でも、調べてみたら合格に何年かかるかわからない。一方で、アメリカの大学にはAO入試が広く取り入れられており、東大の受験勉強よりは可能性がありそうでした。そこで世界中からエリートが集まる「カリフォルニア大学バークレー校」を受験することにしたんです。

徳山:でも、そこから2年で本当に合格したのはすごいですね。アメリカの企業に就職する道もあったと思うんですが、どうして日本に帰ろうと?

鈴木:自分が大人になってから教育に助けられたということもあって、「社会人教育」に関わる仕事がしたかったんです。日本でもアメリカでもこだわりはなくて、今のグロービス経営大学院は、もっとも自分の希望に近いと思い決めました。

徳山:あの、本を読んで、鈴木さんにぜひ聞いてみたいと思ったことがあるんですけど、いいですか?

鈴木:ええ。

徳山:これは僕がそうなんですけど、ヤンキーだった自分と、今こうして東京で働いている自分に、すごく二面性を感じるんです。東京ではマジメなサラリーマンとして振舞っているけど、地元の大阪に帰ると元ヤンキーの兄ちゃん。その2つのキャラクターが自分の中に共存しています。鈴木さんもそういうところがあるのか、率直に聞いてみたかったんです。

鈴木:僕も二面性はすごくあるなと思いますね。例えば、アメリカの大学では「それって本当にそうなの?」って疑問を持つことが大事だと教えられました。だから今でも、ちょっと理屈っぽいというか、いろんなことに「なんでだろう?」と言っちゃうんですよ。でも、それを地元の仲間にやると、「お前うるせえな」とツッコまれる。

高校野球をテレビで観ていたときに、「何で甲子園の土って黒いんだろう?」と言ったら、「知らねえよ」と言われましたからね(笑)。僕は意識したことはないんですけど、彼らからは「昔とはすげー変わった」とよく言われます。

徳山:やっぱり。僕もまったく一緒です。

鈴木:理屈っぽいと絡みづらいんでしょうね。でも、僕が彼らに言われて「なるほど」と思ったことがあって。「いろんな人を束ねるリーダーになりたいんだったら、そういう細かいことはあんまり口に出さないほうがいいよ」と指摘されたんです。

■エリートもヤンキーも使う言葉が違うだけ

鈴木:勉強って個人プレーじゃないですか。でも、中学・高校の不良文化ってヒエラルキーがあって上下関係が完全にピラミッドですよね。しかも彼らの多くは若くして職人として独立したり、地元で会社を経営したりしている。リーダーシップという意味では、勉強ばかりの20代を過ごした僕よりもずっと磨きがかかっているんです。だから、仕事での人との接し方みたいところは、彼らに教えてもらっています。

徳山:大学では教えてくれないところですからね。

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鈴木:しかも、実際の仕事ではそっちの能力のほうが大事だったりするじゃないですか。バークレーで知り合った東大出身の学生を地元の友達に紹介したことがあるんですけど、彼も「彼ら超面白いね」と言っていました。

徳山:そんなヤンキーから学べることって、鈴木さんは何だと思いますか?

鈴木:僕はアントレプレナーシップ(起業家精神)だと思います。横文字だと偉そうな言葉ですけど、平たく言えば、「めちゃくちゃ試行錯誤をする」ってことですよね。挑戦して失敗して検証してまた挑戦する。

少なくとも、僕が知っている地元の連中は、高速で試行錯誤しているタイプが多いんですよ。「これってどういうこと?」みたいな分析に時間をかけるタイプはいない。考えるよりもまず行動。不良上がりの人のほうが考える前に挑戦するし、壁にぶつかってもすぐにやり方を変えて再挑戦する。その感覚はすごく大事だなと思いますね。

徳山:わかります。失敗を恐れないですよね。ダメだったら次、みたいなトライ&エラーの感覚が自然とあるなって、僕も地元の友達と話していて感じます。

あと僕が面白いなって思うのは、エリートビジネスマンもヤンキーも、使う言葉が違うだけで、実は商売において同じことを考えていたりするんですよね。地元の友達はよく「やっぱ売れる商品にはクセが必要や」と言うんですけど、これはマーケティングの世界における「USP(ユニーク・セリング・プロポジション=競合他社にない独自性が商品やサービスには必要という考え方)」と同じですよ。

商売をしている人っていうのは、学歴がなくても、試行錯誤しているうちに同じ答えにたどり着く。こうして東京で仕事をしていると、周りのすごい経歴の人たちに引け目を感じたりしますけど、今は元ヤンキーだからって、卑屈になることは全然ないんだって思います。

(後編につづく)

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<プロフィール>
鈴木琢也(すずき・たくや)
1986年神奈川県川崎市生まれ。家族の不和が原因で中学生からヤンキーに。偏差値30台の県内最低の高校を卒業後、すぐとび職に。生命保険会社に16年間勤める父親が、初めて業績優秀者として表彰されたのを見て一念発起、専門学校に通いその後IT企業に。リーマンショックの直撃を受けた職場で「やれている同僚」を分析、彼らが卒業しているトップランクの大学に入ることを決意。カリフォルニア大学バークレー校に合格、卒業。アメリカの超優良企業の内定を蹴り、日本最大のビジネススクールであるグロービスに就職

<クレジット>
取材・文/小山田裕哉
撮影/小島マサヒロ

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