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日本政府観光局の発表によると、2014年7月に日本を訪れた外国人の数は127万人で、1ヶ月間の数としては過去最多を更新しました。東京五輪の開催を控え、日本に興味を持つ外国人はますます増えているようです。

しかし、日本の魅力を世界に発信していく施策は、まだ十分とはいえません。国を超えてつながるウェブの活用が重要視されてはいますが、そこでどんな情報を、どうやって発信していけばいいのか――。模索が続いているのが現状です。

そこで、訪日外国人観光客向けウェブマガジン「MATCHA」(http://mcha.jp/)を運営する青木優さんに、「ウェブで人を動かすための情報発信」について、本サイト編集長の岩田慎一が聞いてみました。

■僕が外国人向けメディアを作った理由

――どうしてかき氷ショップで対談しているのか? そして、ここはどこなのか? その真相は前回の記事(「日本人はまだまだ日本の本当の魅力をわかっていない」)を参照していただくとして、今回は「MATCHA」が目指す方向性について、深くうかがってみたいです。

岩田:青木さんがメディアを立ち上げたきっかけは、大学生時代の世界一周旅行だったんですよね?

青木:そうです。世界一周を終えて日本に帰ってから気がついたのですが、海外に行ったら、現地の人がおすすめする場所に行きたくなりますよね? でも、日本に来る外国人向けに、日本人がちゃんと情報を発信しているかというと、ほとんどやっていなかった。

岩田:確かに、主に東京と京都の見どころばかりをミックスした「観光ガイド」ばかりかもしれません。

青木:1回目は観光地に行ってみたくなるのでいいんですよ。でも2回目、3回目とリピートしてもらうためには、観光ガイドに載っていないところをどう案内していくかが重要になってきます。僕が最初に行った海外はタイなんですが、楽しくてすぐにもう一度行ったんです。そうしたらやっぱり、「今度は現地の人が薦めるローカルフードが食べたいな」と思ったんですよね。

岩田:それで「MATCHA」は、ライターさんが記事を署名で書くことにこだわっているのですね。

青木:ええ。署名だからこそ、ライターさんも「本当に良いと思ったもの」を紹介するんです。例えば、うちのサイトには京都を紹介する記事はたくさんありますが、清水寺の記事ってまだないんですよ。「天下一品」の記事はあるんですけど(笑)。

岩田:でも、清水寺は京都を代表する観光スポットですよね?

青木:ここが「MATCHA」の一番の特徴かもしれません。清水寺について観光ガイド的な文章を書ける人は世の中にたくさんいます。でも、僕らは「清水寺についてだったら5時間でも、10時間でも話せますよ」という人に書いてほしいんです。

岩田:なるほど。