日焼け止めをよく使用する方にとって「PA」「SPF」という、この2つの言葉はなじみのあるものかと思います。しかしその”意味”については詳しく知らない、という方は意外に多いのではないでしょうか? 気になる紫外線・日焼け対策と共に、この「PA」「SPF」の意味についても理解しておきましょう。

■まず把握しておきたい2種類の紫外線

1. UVA(紫外線A波)
紫外線の90%以上を占め、肌表面および肌の奥の真皮というところまで到達してしまう紫外線です。UVAは曇りの日でも窓ガラスを透過して室内まで届くため、建物の中にいても対策が必要になります。

2. UVB(紫外線B波)
肌の表面にしか影響を与えませんが、そのエネルギーは非常に強く、特に4月頃から9月まで多く見られ、長期に渡って肌にダメージを与え続けます。長時間、肌がUVBにさらされると日焼け跡を強く残してしまうこともあります。

■紫外線対策が重要な、本当の理由

美肌のために紫外線対策を行っている方は多いかもしれません。しかし、紫外線対策が重要なのは美容の面だけではありません。実は、健康を維持する上でも、紫外線から肌を守ることが大切です。

<紫外線対策の目的>
 1. 皮膚障害の予防
 2. 皮膚がんの予防
 3. 皮膚老化(しわやたるみ等)の予防

強い紫外線を大量に浴びてしまうとやけどのような症状を引き起こし、肌が赤く炎症し、時には皮がむけてしまうこともあります。さらに、遺伝子にも傷をつけます。紫外線による度重なる遺伝子の損傷は皮膚がんの原因にもなるといわれています。正常な皮膚を維持するにはそれを阻害する紫外線の影響を除去しないといけません。ゆえに、紫外線対策を侮ることはとても危険です。男女問わず、特に日差しが強い時期は入念な紫外線対策が必要になります。

■日焼け止めの成分と役割

次に、日焼け止めの正しい選び方と、「PA」「SPF」について解説していきたいと思います。みなさんが使用されている成分から、日焼け止めがどのように紫外線から肌を守ってくれるのかを見てみましょう。

<主な日焼け止めの成分>
1. 紫外線を散乱、吸収し肌を守る成分
 ・無機系素材である酸化チタン
 ・酸化亜鉛
 ・酸化鉄
 ・アルミニウム

2. UVA/Bを吸収
 ・有機系素材である桂皮酸 
 ・カンフル系
 ・パラアミノ安息香酸
 ・ベンゾイルメタン
 ・ベンゾフェノン
 ・メキソリルXL
 ・チノソーブM
 ・チノソーブS

■「PA」「SPF」、それぞれの意味

1. PA値=UVAから肌を守る度合い
PAはProtection Grade of UVA(プロテクション グレイド オブ UVA)の略で、UVAによる肌へのダメージの防御指標となるものです。具体的にはUVAを浴びた2〜4時間後にできる色素沈着への防御効果の強さを示すのですが、PAは数値化できないため効果が+で示されています。例えば……
 ・PA+
 ・PA++
 ・PA+++
といった3つの種類に分類され「+」が多いほどUVAに対する防御効果が高いことになります。

2. SPF値=UVBから肌を守る度合い
SPFはSun Protection Factor(サンプロテクションファクター)の頭文字をとったもので、UVBによって皮膚の赤みを防ぐ効果の度合いを示します。例えば……
・SPF1:20分の予防効果が得られる
・SPF10:200分(10×20)
つまり、数値が高いほど長時間UVBによるダメージから肌を守ってくれることになります。
ただし、SPF値の上限は50となっていますが、実際にはSPFが50以上では測定方法に限界があることや30以上の製品の効果と変わりがないともいわれているようです。

■日焼け止めの効果的な使用法

<塗るタイミング>
屋外での使用時は汗をかいたり、水泳をすることで流れ落ちてしまったりするので、記載されたSPF値よりも低くなることを考慮して使用しないといけません。また時間が経つごとに効果が低下しますので、1度に分厚く塗るのではなく、SPF値なども考慮しつつ、だいたい2~3時間ごとに薄くのばして塗りなおす必要があります。

たとえウォータープルーフのものであっても、海水浴やプールといった夏のレジャーでは、やはり効果は薄れてしまいます。
ゆえに屋外レジャーではどんなタイプのものでも、こまめに塗り直すことがポイントになります。

<肌への負担も考慮>
PAやSPF の数値が高い日焼け止めは、紫外線に対する効果は大きいのですが、肌への負担も大きくなる傾向にあるので、屋内での紫外線対策にはどちらの数値も低いもので対処するようにしましょう。また敏感肌の方は、アルコールが入っていないものやジェルタイプのものを選択するなど、用途やお肌の状態に合わせて選択したいですね。

■医師からのアドバイス

使用上の注意として、日焼け止めに入っている成分に対するアレルギーで接触性皮膚炎を起こすことがあります。これは主に有機性成分が原因です。また、紫外線対策は日焼け止めだけに頼るのではなく、長時間日光に当たらない工夫をする、あるいは着衣・帽子の着用・日傘・眼鏡・パラソル・日陰を利用するなどの対策も取り入れるようにしましょう。まだまだ夏の暑さは続きそうですが、9月まではお肌の保護も忘れずに夏を楽しみましょう。

<クレジット>
文責/Doctors Me