■学校を軸にしつつも、国の教育政策にもかかわっていきたい

岩瀬:次の質問は、「ご自身のお子さんに何を期待していますか? 日常的にどういうことを意識してお子さんに接していますか?」ということです。まだお子さんは小さいですよね。
14091100_3
小林:そうですね、4歳と0歳です。4歳児のほうですが、やっぱり良いところを見つけて伸ばしてあげたいな、と気をつけています。うちの息子は完全に主人似なんですね。顔も頭の形も、そっくりで(笑)。

岩瀬:ご主人はすごく寡黙で落ち着いていて、りんちゃんとは正反対の人ですよね(笑)。

小林:主人は同じ大学でも工学部の電気電子情報系出身という、24時間研究室で研究をしているような人なので、私とは全然違いました。子供は明らかにそちらに似ているので、英語なんかやってもまったく興味がないですね。

その一方で図鑑が大好きなんですね。しかも深海魚と爬虫類が好きなんですよ(笑)。英語も日本語もほとんど興味がないんですが、彼が好きなところを伸ばすということでやっています。

岩瀬:じゃあ、次の質問ですが、「ご自身の10年後20年後30年後、どんなイメージを持っていますか?」

小林:難しい質問ですね。10年前に今の自分がイメージできていたかというと全然できていなかった。今のイメージがどれだけ正確かわかりませんが、まず今年ISAKが学校を開校するということで、向こう10年間はこの学校をキチンと立ち上げて軌道に乗せて安定させるということに完全に注力したいと思っています。

今年の8月には主人の理解も得て家族全員で軽井沢に移住いたします。完全に学校と家族だけの生活になっていくと思います。

それが終わって20年後はどうかというと、私は60歳になっています。教育の分野のなかで学校を軸にしつつも、学校だけに限らず、たとえば国の教育政策とか、そういうところで何かお力になれることがあればやっていきたいなと思っています。30年後は70歳ですから、そのときには良いお祖母ちゃんになりたいですね。

岩瀬:僕もあまり将来のイメージはないです。最近よく話をするのは、一緒にライフネット生命を作った出口治明という人間が今66歳なんですね。最初に会ったときは58歳だったのですが、日に日に若返ってくるんですよ(笑)。

やっぱり新しいものを作るとか、若い人たちと切磋琢磨しながら新しい挑戦をするって本当に素晴らしいことだな、と思います。りんちゃんのお父さんではないですが、60歳になってからもう一回ベンチャーを立ち上げることができたらすごく楽しいと思います。そのときに若い人たちと組んで一緒にやりたいので、最近は年下の友達を増やすよう、20代の人たちと積極的に接するようにしています(笑)。

<プロフィール>
小林りん(こばやし・りん)
インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(ISAK)代表理事。経団連からの全額奨学金をうけて、カナダの全寮制インターナショナルスクールに留学。大学では開発経済を学び、前職では国連児童基金(UNICEF)のプログラムオフィサーとしてフィリピンに駐在、ストリートチルドレンの非公式教育に携わる。2007年に発起人代表の谷家衛氏と出会い、学校設立をライフワークとすることを決意、2008年8月に帰国。1998年東大経済学部卒、2005年スタンフォード大教育学部修士課程修了。世界経済フォーラムが選ぶ 「2012年度 ヤング・グローバル・リーダーズ」として表彰される。2013年には、日経ビジネスが選ぶ「チェンジメーカー・オブ・ザ・イヤー」受賞。

※2014年6月30日 現代ビジネス「賢者の知恵」より