水晶体再建術とは、白内障の治療で行われる手術のことをいいます。その中の「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」は厚生労働大臣が定める先進医療のひとつでしたが、2020年3月末で先進医療の対象外となりました。

今回は白内障のこの治療方法が先進医療の対象外となったことで、治療費用の負担にどんな影響を与えるのかを確認しましょう。

■先進医療とは?医療保険での保障内容

「先進医療」とは、高度な医療技術のうち、一定の基準を満たした新しい治療や技術として厚生労働大臣が定めた療養のことです。先進医療に指定された療養は定期的に「先進医療として認められるべきかどうか」見直しが行われます。

医療保険には先進医療にかかる治療費に備えるために、先進医療保障が選択できるものもあります。先進医療保障つきの医療保険に入っている場合、この定期的な見直しの結果次第で、保障される内容が変わる可能性もあります。

医療保険の先進医療保障とは、先進医療を受けた場合に、自己負担した技術料と同額が保障され、通算いくらまでと保障に上限額が設定されているものが多いようです。定期的な見直しの結果、これまで先進医療の対象だった療養が先進医療から外れると、この保障では、保障されないことになります。

一方で、一般的に医療保険は、病気やケガの治療で入院・手術をした場合に給付金を受け取れる保障もあります。「入院をした場合には●円の給付金を受け取れる」「手術を受けた場合には●円の給付金を受け取れる」といったものは、先進医療から外れていても、公的医療保険の対象であれば給付金の対象となる場合があります。
※保障内容については、加入している保険の約款をご確認ください。

■白内障とは? その原因と治療法

白内障とは、眼球の中にある水晶体と呼ばれる部分が白く濁ってしまい、物の見え方がおかしくなったり視力の低下や喪失を引き起こしたりする病気です。

原因として最も多いのは加齢とされていますが、アトピー性皮膚炎や糖尿病の合併症、目の外傷によるものなど多岐に渡るため、高齢の方だけでなく若年層にも発症することもあります。

白内障の治療法は、手術が主となっています。濁ってしまった水晶体を取り除き、眼内レンズという人工の水晶体を入れる、水晶体再建術という方法で行います。

この眼内レンズには2つの種類があります。1つは単焦点眼内レンズ、もう1つは多焦点眼内レンズです。2つのうち前者の単焦点眼内レンズを用いた手術は健康保険が適用されるため、自己負担額は最大3割です。後者の多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術については、長らく厚労省の先進医療に指定されていましたが、前述のように2020年3月末をもって先進医療から外れました。

■多焦点眼内レンズを用いた白内障手術が先進医療から外れると?

多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術はこれまで先進医療に指定されていたので、先進医療保障つきの医療保険に入っていれば、先進医療保障を利用して、自己負担額を抑えつつ手術を受けることができました。
しかし今回の変更で、医療保険の先進医療保障の対象外となります。厚労省「第81回先進医療会議」(2019年12月開催)の報告では年間で約34,000件実施されていた技術のため、影響範囲が大きく、保険会社では先進医療保障の対象外となる通知を出したところもあります。
(参考:ライフネット生命「多様点眼内レンズを用いた水晶体再建術」等の先進医療からの削除について

一方で、単焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術についてはこれまで同様、健康保険を適用した自己負担額で受けることができます。

また多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術も、厚労省認可のレンズを使った場合は選定療養といって、治療費の一部に公的保険が適用された状態で手術を受けられます(非認可のレンズを使った場合は自由診療のため全額自己負担)。

白内障の治療は、厚労省「患者調査」(平成29年)の受療率を見ると、入院よりは外来での治療を行う人が多いようです。そうした場合、外来での手術に対応した医療保険に入っていれば、手術給付金を請求できる可能性があります。
ただ、体力のない方や高齢者の方の場合、入院での手術になることもあるでしょう。入院と手術に対応した医療保険に入っていれば、入院給付金と手術給付金の両方を請求できる場合もあります。

これから白内障手術を受ける予定があり、自分の入っている医療保険で白内障手術が保障されるかどうか気になる方は、ご加入の保険会社に問い合わせてあらかじめ確認をしておきましょう。また、今後も先進医療の対象は定期的に見直しされる見込みですので、入っている医療保険の保障内容を確認するようにしましょう。

<クレジット>
文/年永亜美(ライフネットジャーナル編集部)