今回の相談者さんは、働き方を変え、貯金の使い方を変えようとしている40代の方。ライフプランの見直しに伴って、お金のこともきちんと考えた方がいいのでは……と感じているそうです。いつか○○したい……と考えていた計画が変わると、どのくらいお金がかかるのかも変わってくるもの。でも、具体的にどう見直していけばいいのかは難しいですよね。さて、黒田さんからのアドバイスは?

【相談】
最近、エンディングノートに関する記事を読んで、ライフプランの見直しを考え始めた40代の男性です。家族は妻と子ども一人。少し前に脱サラし自営業になりました。もう一人子どもがほしいし、いずれは家を購入するかもしれないので、何となくお金は貯めていました。ただ、きちんと考えたわけではないので少し不安です。ライフプランってどうやって見直したらいいのでしょうか?いまライフプランを見直すとしたら、どんなことに気を付けたらよいでしょうか? 黒田先生、教えてください!(40代・男性)

■ライフプランには5つのステップがある

家を買うための資金をしっかり準備されていたという相談者さん。素晴らしいですね。自営業も好調のご様子。ぜひその調子でがんばってください。

さて、お尋ねのライフプランについては、ステップがあることをまず知ってほしいと思います。ライフプランには全部で5つのステップがあるんですよ。

ステップ1は、就職や転職、結婚、出産、住宅購入など、人生におけるライフイベントにフォーカスして、可視化することです。相談者さんの場合、この先お子さんが増えそうなら、お子さん関連のライフイベントについてしっかりと考えましょう。

次のステップ2は、ライフイベントに必要な資金を計算することです。ライフイベントには出費がつきもの。例えば、出産にはお金がかかるし、その後には教育費用も発生します。人生、何が起こるかわかりませんが、子どもが生まれれば何かとお金がかかるのは必然です。18歳未満の子ども一人あたりにかかるお金を年間200万円前後とした場合、このうち、児童手当などの公費負担分を除くと、実質的な自己負担は約100万円程度となります。

これらは食費や被服費など生活費にかかるお金で、教育費は進学コースに応じた額が別途かかってきます。
とはいえ、子どもの進路は、ギリギリにならないとわかりません。しかも、公立に進むのか、私立を選ぶのか。希望していても、その通りに進学できるとは限りませんよね。不確定要素が多いんです。

だからといって泥縄式では資金不足に陥ります。小学校3〜4年生くらいになると、中学受験を見据えて進学塾に行くのかなど、ある程度、子どもの進路について考えやすくなります。この見込みをもとに、必要な資金を算出してみてください。

■子どもの教育費用はどう考える?

ステップ2でだいたいの必要な資金を割り出したら、ステップ3ではそのための貯蓄プランを作ります。貯蓄プランに必要なのは、①運用目的、②運用期間、③目標金額の3点です。
子どもの教育期間は小学校から大学までストレートに進めば16年間。つまり、子どもの教育に関しては、お金がかかる期間がある程度決まっているわけです。この期間に必要な資金を捻出するには、どのような方法があるのかを検討してみましょう。

コツコツ貯金をするのか。投資を組み入れるのか。ここで注意したいのは、投資においてはリスクとリターンはトレードオフだということです。ハイリターンを狙うなら、ハイリスクは覚悟しなければなりませんが、資金が必要な時期まで時間的に余裕があるようなら、ローリスクの運用方法を選択できます。

貯蓄プランを練ったら、ステップ4で現実とのギャップを埋めていきます。物事は、なかなか計画通りには進みません。これだけの資金が必要なのに、いまのままでは貯められそうにないという方のほうが圧倒的多数でしょう。

ではどうするか。ステップ1〜3のいずれかを調整します。想定しているライフイベントを先に延ばす、使う予定のお金を減らす、あるいはイベントを思い切ってカットするという選択もありえるでしょう。それによって必要な資金が変わってきます。貯蓄や投資に回せる金額は、おいそれとは増やせません。

そうなると、計画の方に手を入れるしかないのです。その計画は本当に必要でしょうか。資金はそんなにいるのでしょうか。吟味してください。

夢と現実のギャップを埋め、修正を施した現実的なライフプランが完成したら、そこからがステップ5。ライフプランの最終段階です。

■必要な費用をストックとフローでまかなおう

ここで、お子さんの教育資金についてもう少し詳しくお話ししましょう。文部科学省や日本政策金融公庫の調査などをもとに算出をすると、幼稚園から大学まですべて国公立の学校に通う場合、必要な教育費用は約1,000万円です。

ところが、私立大学に進学する場合、1,500万円以上の費用が必要になります。「以上」と書いたのは、学部によっても異なるため。1,500万円は最低の線の目安なのです。 

もし小学校や中学校から私立に通わせようとすると、さらにお金が必要です。概算で2,000万円以上。これはもちろん、お子さん1人あたりの金額です。

さらに脅かすようですが、小学校4年生から通塾する可能性もあります。個別か集団かによっても異なりますが、小中学校の夏期講習には20万円〜30万円かかることも珍しくありません。ちょっとした旅行に出かけられる金額が飛んでいきます。

こうした数字だけを聞くと、「とてもそんなには貯められない」と思われるかもしれませんが、すべてを貯金でまかなう必要はありません。ステップ5として、ストックとフローの合わせ技で必要な金額を捻出しましょう。

ストックとは貯蓄などの資産のこと、フローというのはお金の出入りのことです。お子さんが学校に通っている期間、バリバリの現役世代である相談者さんは、働くことで、定期的なフローがありますよね。それを教育費用に回すのです。半分はストックで、半分は家計をなんとかやりくりしてフローでまかなうと考えれば、少しは気持ちが軽くなるのではないでしょうか。

ただ、相談者さんは自営業者ですから、会社員よりも公的制度が手薄になります。自営業者として、必要な資産運用や保険についてもしっかり考え、リスクに備えておいてください。

いずれにしても、ライフプランを見据えて動くことが重要です。大事なのは「見える化」すること。そして、その都度見直しをすることです。ステップ5までたどりつき、ライフプランが完成したとしても、そのまま放置するのは厳禁。見直しは必須です。

ステップ5は究極のゴールではありません。ライフプランは変わっていくもの。変わるのが当たり前なのです。必要に応じて軌道修正しながら、各ステップをぐるぐると見直し続けて、自分たちのライフプランを作り上げていってください。

<プロフィール>
黒田尚子(くろだ・なおこ)。 1969年富山生まれ。立命館大学卒業後、1992年(株)日本総合研究所に入社。SEとしておもに公共関係のシステム開発に携わる。1998年、独立系FPに転身。現在は、各種セミナーや講演・講座の講師、新聞・書籍・雑誌・ウェブサイトへの執筆、個人相談等で幅広く活躍。2009年12月に乳がんに罹患し、以来「メディカルファイナンス」を大テーマとし、病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動も行っている。CFP® 1級ファイナンシャルプランニング技能士、CNJ認定 乳がん体験者コーディネーター、消費生活専門相談員資格を保有。
●黒田尚子FPオフィス

<クレジット>
取材/ライフネットジャーナル オンライン 編集部
文/三田村蕗子
撮影/村上悦子