こんにちは。ライフネット生命の新卒5期の板東です。
突然ですがこの度、中国の深圳(しんせん)へ武者修行に行ってまいりました。
武者修行といいますのも、よくある表敬訪問旅行……というものではなく、自分自身で企業にアポイント取得、建設的なディスカッションのための資料作成、ローカルの交通機関を使って企業に訪問し、訪問した企業から得た学びを深夜までチーム内でディスカッションし、自社事業に貢献できる情報収集・発見をするという趣旨のツアーでした。
今回はそのツアー内容について全3回に分けてご報告させていただきます。
まず第1回は「深圳とはどんな街か?」について、今回私が深圳で感じたことを感想としてお伝えします。
■深圳はどこにあるのか?
深圳と聞くと、あまり馴染みがないかもしれません。
まず、場所がどのあたりにあるか、想像つきますか?
日本より南に位置しており、気候は東南アジアのように蒸し暑いです
もう少し近づくと、香港に隣接しているのがわかります。
香港から深圳へは、バス・地下鉄・フェリーで入国できます。
私は移動が一番わかりやすいバスで、深圳に入国しました。
■深圳のキーワード「未来」「若さ」「成長」
深圳のを3つのキーワードでまとめるとすれば、「未来」「若さ」「成長」です。
まず「未来」についてですが、この動画をご覧ください。
動画の中で若い女性がショッピングを楽しみ、QRコードをかざして、支払をしているのがわかりましたか?
深圳ではこのQRコード決済がほぼ100%普及しています。
飲食店、コンビニ、自動販売機、地下鉄、タクシー、露店、さらにホームレスの人もQRコードでお金を受け取ります。
現金はほぼ使われていません。
一度体験してみるとわかるのですが、とにかく便利なため、もう現金生活には戻れません。
こんな未来感のある風景が日常にあるため、深圳は未来都市とも呼ばれています。
次に「若さ」について。
深圳は圧倒的に若い街です。65歳以上の高齢者が総人口に占める割合(高齢化率)は2%*1、平均年齢が32.5歳(2015年)*2と驚異的な若さです。ちなみに日本の高齢化率や平均年齢がどれくらいかイメージつきますか?
日本の高齢化率は27.3%、平均年齢は45歳(2015年)*3です。
比較してみると、改めてその凄さがわかりませんか?
若い移民が多いため、新しいテクノロジーが浸透しやすく、「若さ」がイノベーションを起こす理由の一つとなっています。
*1 出典:DIAMOND ONLINE「人類史上最速で成長する都市「深セン」で何が起きているのか」 (2017年1月)
*2 出典:深圳新聞「深圳人口密度全国第一 常住人口平均年龄32.5岁」(2017年5月)
*3 出典:内閣府「平成29年版高齢社会白書(全体版)(PDF版)」
これは地下鉄の中で撮った写真です。地下鉄に乗ると若い人しかいないので、一瞬、修学旅行の集団に遭遇したような感覚になります。
最後に「成長」について。
深圳の実質GDP成長率約8.8%(2017年)です。
中国全体が約6.9%(2017年)なので、深圳が中国の成長をけん引していると言えるでしょう。
一方、日本の実質GDP成長率は、約1.7%(2017年)です。
アジアで経済成長をしている国といえばシンガポールや香港が思い浮かびますよね。
それでも香港の実質GDP成長率は、約3.8%(2017年)です。*4
2017年のGDPの総額を比較してみても、深圳市は2兆2400億元(約38兆円)と、香港の2兆6600億香港ドル(約36兆円)*5に対して上回っています。
*4出典:世界銀行「World Bank national accounts data, and OECD National Accounts data files」で公開されている各国GDPのデータより
*5出典:日本経済新聞「深圳GDP、香港上回る 昨年、改革開放後初めて」(2018年3月)
以上3つのキーワードから、深圳がどんな街か、想像がつきましたでしょうか?
■深圳の街並み
中国というと、どういうイメージがありますか?
きっと「大気汚染」「コピー品」「マナーの悪さ」「食品安全問題」といったネガティブなものが頭に浮かんでくる方もいると思います。
私も深圳に行く前は、心配していました。しかし、深圳は良い意味で私の期待を裏切ってくれました。
次の写真は、深圳の街並みです。
澄みきった空からわかるように、大気汚染の心配は、深圳ではありません。
緑が多いのもわかりますか?
環境意識についても非常に高く、街の約40%は森林化されているそうです。公園を歩いたりしていると、とても気持ちいいです。
タクシーもEV車が多く走っています。タクシーの後部座席に座ると、必ずシートベルトをするようにしつこく言われるほど法令順守意識も高いです。
レストランの食事も美味しかったです。ちょっとしたデザートも原宿で売ったら、人気が出るんじゃないかなと思うくらいでした。
■深圳と言えば、「華強北(ファーチャンペイ)」
次の写真は深圳の名物である華強北(ファーチャンペイ)です。
ここは一言でいうならば、巨大な秋葉原。世界中のすべての電子部品がここで手に入ります。
深圳は歴史的に工場地帯であったこともあり、ハードウェアに強みのある街です。
人件費が高騰する深圳で、組み立て工場が深圳でビジネスを続ける理由は、華強北(ファーチャンペイ)の部品供給能力があるからです。
ここで調達した部品で、すぐにプロトタイプを作り、量産化しています。
■深圳に本拠地がある有名な企業
それでは深圳にはどんな会社があるのかご紹介します。
まず「平安保険」。平安保険は中国最大手の保険会社です。保険事業だけでなく銀行事業、投資事業も手掛けています。時価総額が約21兆円です。*6
次に「テンセント」です。こちらもあまりなじみがないかもしれませんが、WechatというLINEのようなメッセンジャーサービスを手掛けています。時価総額約58兆円です。トヨタの時価総額が約23兆円ですので、トヨタの2倍以上の規模になりますね。*7
あとはハードウェア系で、ドローン企業の「DJI」、スマホなどの電子機器で有名な「HUAWEI」があります。
*6出典:Bloomberg「時価総額21兆円超の中国平安保険、テクノロジーに賭ける-他社に先行」(2017年12月)
*7出典:Bloomberg「中国テンセント、時価総額でフェイスブック抜く-世界5大企業入り」(2017年11月)
出典:Yahoo!ファイナンス トヨタ自動車(株)の株価より(2018年7月)
■英語が使えない街
深圳では、英語がほぼ通じません。タクシーに乗るとき、「HOTEL」ですら通じないため、中国語で「●●酒店」と、スマホで地図を検索して、ドライバーに見せることで、ようやく目的地にたどり着けます。
当然、日本では日常的に使うGoogle, Facebook, Twitter, Instagramといったサービスも使えません。(私は香港のSIMを使って、Google翻訳で生き延びていました。)
英語が使えないからか、欧米人が少なく感じました。
■企業訪問の様子@テンセント
ここからは企業訪問の様子を少しお伝えしたいと思います。
こちらはテンセント。
テンセントからはかなり刺激を受けました。
テンセントは社員数が約5万人で平均年齢が29歳だそうです。
平均年齢が若いのには理由があります。
管理職になれないエンジニアは、35歳で解雇されるそうです。
また45歳で定年となり、定年後は企業年金が支給されるそうです。
とてもシビアな側面を見たと同時に、人材の流動性の高さを感じました。
福利厚生は、もはや欧米企業よりも上だと思います。
これは社内でランニングができる施設。一周250mあるそうです。
これはボルダリングが出来る施設。
なんと会社内にバスケットコートまでありました。
卓球やビリヤードの台もたくさんあります。
社内には20代前半の大学生のような人たちが、半そで短パン姿で猛烈に仕事をしていました。
日本の企業だと「ペーペー」や「新人」と言われている人たちが、会社の中心になって仕事をしている様子が印象的でした。
余談ですが、私がお会いした方から話を聞いたところ、テンセントのヒット作ゲームを担当するプロジェクトマネージャーには、60か月分のボーナスが支給されると聞きました。
日本では考えられないスケールですね。
(つづく)