写真左:佐々木大輔さん(freee株式会社代表取締役)、右:岩瀬大輔(ライフネット生命保険 社長)

写真左:佐々木大輔さん(freee株式会社代表取締役)、右:岩瀬大輔(ライフネット生命保険 社長)

みんなが知りたいお金の話、知っておくべきお金の話。岩瀬大輔が「お金のプロフェッショナル」の方々に、直接インタビューしてまいります。今回は、クラウド会計ソフトfreee(フリー)社長の佐々木大輔さんにお話を伺いました。会計業務が簡単になることで、世界はどう変わるのでしょうか?

■会計の知識はもう要らない?

岩瀬:佐々木さんに初めてお会いしたのは2年前ですよね。札幌で開かれた IVS(Inifinity Ventures Summit=IT系ベンチャー経営者の大型会議)のプレゼン大会で佐々木さんが優勝して、その後僕を見つけて声を掛けてくれた。聞けば高校の後輩ということで、いろんな意味で嬉しかったです。

佐々木:ありがとうございます。僕も大先輩の目の前で優勝することができて本当によかったです。

岩瀬:当時はまだ会社を立ち上げたばかりでしたよね。

佐々木:はい。ユーザー数はまだ数千規模で、マンションの一室を借りてスタッフ6人でこじんまりとやっていました。

岩瀬:立ち上げ直後としては多いと思いますよ。それだけすぐにユーザーにフィットしたんでしょうね。今ユーザー数はどのくらいに?

佐々木:個人と法人合わせて、20万事業所くらいです。

岩瀬:もうそんなに浸透しているんですか。どんなソフトか簡単に説明していただけますか?

佐々木:一言でいえば、企業や個人事業主の会計作業を自動化してしまおうというクラウドソフトです。これまで人間が行っていた入力や計算などの作業は、全部機械がクラウド上で処理してくれます。

岩瀬:従来ソフトよりも簡単に使えると聞きましたが、会計の知識がない人でも大丈夫ですか?

佐々木:使用している銀行やクレジットカードの情報をfreeeに登録しておけば、あとは何もしなくても帳簿が作成できてしまうので、会計の知識は要りません。個人事業主の方も簡単に青色申告ができます。

freeeのサイト

freeeのサイト

岩瀬:これまで確定申告の時期に、書類作成に追われていた人たちは助かるでしょうね。

佐々木:クラウドならではのメリットも多いと思います。端末やOSを問わないから、パソコンはもちろん、スマホからでも作業できます。税制度は毎年変わるものなので、パッケージソフトであればその都度アップデートが必要になって更新料がかかることもあります。クラウドなら、ログインするだけで常に最新の状態でソフトを使うことができるというのも長所の一つです。

岩瀬:ユーザーにはどんな機能が好評ですか?

佐々木:先ほど述べたような、銀行やクレジットカードの情報を自動的に会計ジョブに変換できる機能の評判がいいですね。それと最近リリースした電子保存の機能もよく使われています。これは領収書や請求書などをスキャンしてデータ保存しておくだけで、freeeが日付や金額などのデータを自動で読み取って保管してくれる機能です。一部報道によれば、今年から電子帳簿保存法の規制が緩和される見込みです。その通りになれば、これまで保管義務のあった3万円以上の領収書なども、スキャンしてデータ保存した後は捨てても良いことになります。freeeユーザーは個人事業主が多いのですが、電子保存に対する需要は一般企業でも高まるんじゃないかと感じています。

岩瀬:野暮な質問ですけど、セキュリティは大丈夫ですか?

佐々木:そこは重要なのでよく聞かれますが、freeeは海外のTRUSTe(トラストイー)の認証を受けているほか、外部のテスターに毎日アタックしてもらいながら穴がないか見てもらっています。何重にも防御を張ったうえに、さらにチェックを重ねるということをしています。

岩瀬:なるほど。そういうことをされているんですね。freeeの登場によってビジネスのあり方も変わると思いますか?

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