フリーランスといえば、これまではデザイナーやプログラマーなど特殊なスキルを持っている人の新しい働き方というイメージが一般的でした。しかし最近では働き方が多様になった結果、さまざまな業種においてフリーランス化が進んでいます。
株式会社Waris(ワリス)が推進するのは、働くお母さんたちのフリーランス化。それも豊富な経験や専門性を持つワーキングマザーたちに、新しいキャリアプランをつくることです。
同社CCOで、著書『普通の会社員がフリーランスで稼ぐ』がある田中美和さんによると、これまで特にフリーランスが活躍するイメージがなかった文系総合職ですが、実はかなりの潜在的なニーズがあるのだとか。ワーキングマザーたちの新しい働き方について、お話を聞いてみました。
■ワーキングマザーの需要はベンチャーにあった
──Warisのビジネスモデルについて教えてください。
田中:弊社は2013年4月に創業した人材業のベンチャーです。特に働くお母さんをターゲットに、企業とハイスキルなワーキングマザーのジョブマッチングを行う会社ですね。
──一般的な派遣業や人材紹介とは何が違うのですか。
田中:特徴は大きく3つあります。ひとつは、すでに社会で経験を積んだハイスキルなワーキングマザーを紹介できること。登録女性の平均年齢は38歳で、キャリア10年以上の方がほとんどです。
ふたつ目が、ポジションに人を紹介するというより、あくまでジョブ単位のマッチングを行っていること。企業様からは「このプロジェクトの広報ができる人を探している」というような依頼が来ます。そこに業務委託という形でご紹介しているんですね。実際、弊社の成約案件の74%は業務委託案件です。
──オフィスに常駐といった依頼はむしろ少ない?
田中:常駐する場合もありますし、普段の業務は自宅で行い、打ち合わせだけクライアントの会社でといったケースもあります。フレキシブルな働き方のお仕事が多いですね。そして3つ目の特徴が、職種が豊富ということです。特に文系総合職が充実しています。
──文系総合職というと、人事や広報が該当しますか。
田中:マーケティングや経理も入りますし、本当にさまざまな職種の女性がいます。
──依頼はどういった企業から? やはり大企業ですか。
田中:いえ、これは私たちも意外だったのですが、今のクライアントの9割はベンチャー企業です。
──9割がベンチャーですか!
田中:ええ。私たちも創業当時は大企業を中心にヒアリングしていたんですよ。でも、大手は人材が潤沢にあるので、社内人材の活用については頭を悩ませても、フリーランスを雇うといった発想はあまりなかった。でもベンチャーさんにお話を聞くと、すごく反応が良かったんですね。特にIPO(新規株式公開)前後のベンチャーが興味を持ってくれました。
例えばIT系のベンチャーであれば、すごいアプリをつくれるプログラマーはいるけど、広報や人事ができる人や、市場調査ができる人がいなかったりするんですね。だから優秀な文系総合職は欲しい、でも正社員として雇うにはリスクがある。そこに、うまくフリーランスのニーズが生まれたということですね。
──なるほど。現在、Warisにはどのくらいの女性が登録しているんですか?
田中:現在は1,000人ほどです。特にベンチャーはIPOをめぐる状況が良いので、人手が足りないところが多い。弊社でも、業務委託から正社員として雇用される方もいらっしゃいますし、一方で、フリーランスのまま複数のベンチャーを掛け持ちするケースも珍しくないですね。