(写真はイメージです)

目の不自由な人と一緒に歩く盲導犬はよく知られていますが、犬が人のためにしている仕事はそれだけではありません。ドアを開けたり、テレビのリモコンを手元へ持ってきたり、ペットボトルのふたを開けたりして、車いすを使って生活する人や、指先を使う動作が困難な人のために介助犬として働く犬がいます。そんな介助犬の育成などの事業を実施している社会福祉法人日本介助犬福祉協会理事長の川崎芳子さんにお話をうかがいました。

当記事はFMラジオJ-WAVE「JK RADIO TOKYO UNITED」の番組で、世の中をもっと楽しく、グッドにするためのアクションを紹介する『COME TOGETHER』より許可を得て加筆転載しています

■日本介助犬福祉協会とは?

平成18年に厚生労働大臣指定法人として認可された団体で、介助犬・聴導犬の訓練事業、資格認定を行い、介助犬23頭と聴導犬8頭を認定した実績があります。ほかには、公益事業として「介助犬の訓練士の養成事業」「介助犬・聴導犬の普及啓蒙事業」を行っています。介助犬・聴導犬使用希望者の方々へ犬の無償貸与もしています。

また、宿泊型介助犬体験施設「介助犬PRペンション・館山ドッグワールド」も開設しました。身体障がいがある人はもちろんのこと、一般の人も愛犬と一緒に宿泊して、介助犬たちについて学べる施設で、介助犬・聴導犬のデモンストレーション・福祉講和を開催しています。

理事長の川崎芳子さん


■2018年は、クラウドファンディングを成功させましたね

『障害児のための「介助犬まなび塾」』設立を目指して、【介助犬との生活が夢。言語と身体に障がいがある12歳の少年の挑戦】というプロジェクトを実施しました。

きっかけは、館山ドッグワールドの活動の中で、12歳の少年、旭君とその家族に出会ったことです。家族と一緒にたびたび館山ドッグワールドを訪問するうちに、彼は犬が大好きになりました。同時にお母さんは息子の旭君に介助犬をもたせてあげたいと強く思うようになったのですが、旭君は若すぎて介助犬を手にすることができなかったのです。

というのも、身体障害者補助犬法は、18歳以上の身体障害者の社会参加・自立支援を促すための法律なので、旭君は18歳になるまで介助犬の訓練を開始することができません。しかし、18歳になるまでの数年間を無駄にせず、介助犬と触れ合っていろいろなことを発見してもらいたいと思ったのです。犬と触れ合い、何かを発見をすることで、リハビリに明確な目標がもてるようになるのですから。

このような経緯で、その学びの機会を明確に定めようということになり、クラウドファンディングで『障害児のための「介助犬まなび塾」』というプロジェクトを実現するに至り、プロジェクトは、目標金額を上回る150万円以上を集めて10月15日に成立しました。介助犬事業は、公的支援がほとんどなく運営が厳しい状況なので、たいへん助かりました。

■『障害児のための「介助犬まなび塾」』は、どんな学びが生まれる場所になりそうですか?

家族が一丸となって動物心理学・問題行動・犬の気持ち・補助犬法などについて勉強する場です。具体的には、指の運動のためにボールを投げる練習や、何かを動作させるボタンの色分け指示などができるようになるところから勉強を開始します。

例えば、旭くんの身体状況では、ボタンを押す動作なども非常に困難です。文字は認識できますが、手を動かすことが難しいのです。しかし犬が大好きな彼は「犬と過ごせるのならがんばりたい!」という意思を示し、リハビリに励んでいます。

欧米に比べると介助犬の認知度が非常に低い日本で、介助犬を育て、多くの人に利用してもらおうと活動する日本介助犬福祉協会については、ウェブサイトをぜひご覧ください。クラウドファンディングの報告も掲載しています。

<インフォメーション>
社会福祉法人日本介助犬福祉協会