猫好きにはもちろん、そうではない人からも、「かわいい!」「どこで買ったの?」と言われそうな、おしゃれなグッズを揃えるオンラインショップ「LOVE ME SHOP」。その売り上げは全て、一般社団法人LOVE & Co.が保護している猫の保護・譲渡活動費になります。

過酷な環境で暮らしている野良猫を保護し、適切な処置を施したのちに、猫たちを里親との安全な生活につなげているLOVE & Co.。現在11匹の保護猫が暮らしている世田谷のオフィスで、理事の山下恵子さんにライフネットジャーナルの猫好き編集部員がお話を伺いました。

■一杯のコーヒーで、野良猫を救いたい──LOVE & Co.代表の思い

──今回は「LOVE ME SHOP」のおしゃれでかわいいグッズやLOVE & Co.のみなさんならではの活動や雰囲気など、猫の保護活動をしている他の団体さんとは一味違う、LOVE & Co.さんの魅力をたくさんご紹介したいな、と思っています。まず、活動を始めたきっかけをお聞かせください。

山下:LOVE & Co.設立の経緯は、代表の今村がたまたま捨て猫と出会って保護した経験から出発しています。それがきっかけで野良猫に関するさまざまな問題を知り、個人で野良猫の保護活動を始めたのが最初の取り組みでした。捨て猫を拾うまでは、今村自身は犬派だったそうですが(笑)。でも個人で活動するには、猫の生活スペースなどに限りがあるので、数年に渡って、自宅以外の保護場所を探して、自分の仕事と野良猫の保護活動を両立させる方法を模索していたそうです。

LOVE & Co. 理事・山下恵子さん

──LOVE & Co.の前身「Buddy」は、コーヒーショップだったんですよね。

山下:そうです。「Buddy」は2013年、「みんながコーヒーを飲むお金で野良猫や野良犬を救えたら」という仲間との会話をきっかけに今村がとある会社の一部門として設立しました。会社として保護活動ができるようになったんですが、2年前に現在LOVE & Co.の理事である矢沢と知り合い、2016年、「Buddy」を解散して世田谷にLOVE & Co.のオフィスを構えました。「LOVE ME SHOP」の目玉商品はコーヒーですが、今も「Buddy」時代のコーヒー屋さんからコーヒーを仕入れているんです。

──コーヒーはそのようなきっかけだったんですね。

山下:寄付に頼らず、自分たちでつくった商品を販売して、利益を基に運営していきたい、という思いから、一般社団法人にしました。

みなさまからの寄付やグッズの売上は少しずつ増えてきています。売上がないと猫が保護できないし、医療費も出せない、というのがモチベーションになりますね。

グッズは北海道から九州の方まで、通販をご利用いただいています。新作をちょこちょこ出しているんですが、リピーターの方もいらっしゃるのか、新しいものが出るとすぐ買ってくださるので、とてもありがたいです。

──LOVE & Co.さんのグッズって、純粋にかわいいしおしゃれだし、たまたまサイトで見つけた、というきっかけでLOVE & Co.さんのことを知る人も多いんじゃないかなと思います。

LOVE & Co.オリジナルコーヒー。オンラインショップ「LOVE ME SHOP」で購入できる

山下:それを目標にもしています。やっぱり、「チャリティーだから」「猫がかわいそうだから」買う、だと限界があって。「欲しい」と思わないと買わないですよね。猫の保護や譲渡には興味がなくても、おしゃれなデザインだからとか、人にもあげたくなるようなグッズだから、という理由で選んでもらえるように、商品をつくっています。

──ラベルに描かれているのが、実際に存在するLOVE & Co.の保護猫たち、というのも、猫一匹一匹の性格が活かされていておもしろいですね。

山下:グッズのデザインは今村が担当しているのですが、LOVE & Co.で里親を募集している猫一匹一匹の魅力が伝わるように、「かわいそう」な感じより、むしろちょっとギャグにしちゃっているようなグッズもあるんですけど(笑)。これがこの子のキャラクターだよ、っていう。

──コーヒーでもチョコでも、デザインがかわいかったり、それを買うことが、LOVE & Co.さんの保護猫の幸せに繋がったりする方が、買おうという気持ちになりますよね。

山下:そうですね。猫の個性を活かしたグッズを通して、猫を飼いたい、と思ったときに「保護猫を家族に迎える」という選択肢を考えていただくきっかけになればいいな、と思います。

インタビュー中、山下さんに寄り添ってくつろいでいた、保護猫のなつめちゃん。夏目漱石ばりのちょび髭がチャームポイント

■LOVE & Co.だからこそ出会える保護猫たち

──現在こちらのオフィスでは何匹の保護猫が暮らしているんですか?

山下:11匹ですね。あまり頭数が増えるとストレスになってしまうので、増えすぎないように気をつけています。オフィスはもうスペースが限界なので、預かりボランティアさんのところで生活している猫もいます。

里親を希望される方には、ご連絡いただければその日に合わせて預かりさんのところから連れてきて面会とか、あとは直接預かりさんのところに行っていただいて面会とか。希望される方や猫に合わせています。

──インスタグラムを見ると、里親募集中の猫のお写真だけでなく、譲渡された猫についても里親さんがたくさん情報を発信されていますよね。

山下:LOVE & Co.の保護猫は一匹一匹にハッシュタグがあるんです。あと、無事に譲渡された猫ちゃんは「#ラブコ卒業生」というハッシュタグから現在のお家での様子を見ることができます。

なつめちゃん「なつめ専用のハッシュタグもあるにゃん」(#loveandco_natsume

里親たちが発信しているハッシュタグ「#ラブコ卒業生

山下:里親さんも、譲渡会やワークショップでここのオフィスに来てくださった方も、猫の写真を撮ってインスタで発信してくれていて。ワークショップはハンドメイド雑貨からパソコン講座など、内容が猫に全く関係ないこともあるんですが、それをきっかけに来ていただいた方にLOVE & Co.の猫たちのことを知っていただいたり、その方々がLOVE & Co.のことを広めてくださったりすることもありますね。

──実際に保護された猫の里親になりたいと思った時にどうしたらなれるのか、知らない人も多いと思います。猫とは関係ないきっかけで情報を知ることも、すごく大事ですよね。

山下:そうですね。あとは「LOVECo Worker(ラブコワーカー)」さんという、オフィスでグッズ製作のお手伝いをしていただいたり、猫たちに朝ごはんをあげたり、掃除をしていただいたりしているボランティアさんもいらっしゃいます。事情があって猫が飼えないけど支援したい、という方も結構いらっしゃるので、本当に助かります。

──いま「こういう人手が足りない!」とか、何かお手伝いが必要なことはありますか?

山下:「運転ができる人」を探しています。保護猫の通院や、預かりさん・里親への引き渡しなどに車が必要なのですが、いまスタッフだと代表の今村しか運転ができないので、今村の運転か、もしくはタクシーで行くしかないという状況です。急に保護猫の具合が悪くなったとか、そういう時に声をかけたら来ていただける方がたくさんいてくださるとうれしいです。

あとは「預かりさん」。保護した猫をオフィス以外で預かっていただいているんですが、みなさんほぼボランティア。医療費やご飯代など、猫の生活費をどこまでご負担いただくかは、それぞれご相談で決めているのですが、できる限り多くの野良猫を保護するために、預りさんもできる限りたくさんいらっしゃると助かります。

コピー機の上でスヤスヤ眠っていた、保護猫の大将くん(#loveandco_taisyo

後半では、野良猫をめぐる現状、そして野良猫を保護したい、と思った時にどうすればいいのかお伺いします。

<インフォメーション>
一般社団法人LOVE & Co.
LOVE ME SHOP

<クレジット>
取材・文/ライフネットジャーナル オンライン 編集部
撮影/横田達也