オンラインのヘルスケアサービスを提供する株式会社FiNCの「ダイエット家庭教師」。AIテクノロジーを駆使し、ユーザーの悩みや毎日の食事・睡眠・運動のデータをもとに、最適な美容・健康のアドバイスを届ける機能や専用アプリのチャットを介して、ダイエットの専門家集団が指導をしてくれます(実は、このアプリは、特許も取得しているんだとか)。

このような取組やサービスを最近ではヘルステック(ヘルスケア×テクノロジー)とよばれており、フィンテック(金融×テクノロジー)とあわせて保険業界でも注目されています。

保険会社として新しいトレンド(ヘルステック)は積極的に体験すべき!? という社内号令のもと、ライフネット生命社員から選抜された社員4人が実際に体験してみました。

いろいろなダイエット法が出ているなかで、このダイエット家庭教師は60日間のオンラインプログラムを通じ「人生最後のダイエット」を謳っています。果たして、本当に効果はあるのか? 本音の結果報告をしてもらいました。

■長期的に太りにくい習慣を身に付ける

そもそも「人生最後のダイエット」とはどういう意味なのか? 実はこのダイエット法は、プログラム期間内での減量だけを目的としているわけではありません。60日経過後の減量幅は、平均が男性5.9キロ、女性4.3キロと公表しており、10キロ近くも劇的に痩せられるようなプログラムではなさそうです。

では、何が目的かというと、大きいのは生活習慣や運動習慣の改善を、アプリを通じて伝えていきます。特に、大きい要素は、食生活の改善です。アプリから毎食、食べたものの写真を送ってもらい、担当の“家庭教師”が5段階評価の星を付ける。食事の内容に応じてコメントもそえられ、「次はもっと野菜をとりましょう」「このお肉を鶏肉に変えてみましょう」など、具体的なアドバイスもしてくれます。

食生活を改善することで、痩せやすいカラダを作り、太りにくいルーティーンを染み込ませる。そうすることで、プログラムの終了後も太らなくなる──。だから、「人生最後のダイエット」というわけです。

そんなダイエット家庭教師にトライしたのは、次の4名です。

・加納龍二(営業本部 お申し込みサポート部 CRMグループ)
・小川総一郎(コーポレート本部 人事総務部 マネージャー)
・金清麻由(営業本部 お申し込みサポート部 CRMグループ)
・川端麻清(営業本部 マーケティング部 マネージャー)

下は20代から、上は60歳までバラエティ豊かな面々です。「健康面への心配から痩せたい」「ジムに長年通っても効果がなかった」など、理由はそれぞれ違いますが、「ダイエットしたい!」という思いは全員一緒。

FiNCの協力のもと、一般のユーザーの方とまったく同じ条件で、このサービスを体験してもらいました。さて、結果は……?

■Q:正直、痩せました?

加納龍二(営業本部 お申し込みサポート部)

「プログラムが始まる前に、FiNCさんのホームページに掲載されている、食事メソッド動画を観たんですよ。野菜、たんぱく質、炭水化物を3:2:1の比率で、この順番で摂取しましょうという内容で、それぞれの重量を手のひらで計るんです。それをプログラム前に実践してみたら、1週間で2キロ減りました。これはすごいと思いましたね」(加納)

ちなみに、その動画はこちら。野菜は両手、たんぱく質は片手、炭水化物は片手の半分が適量という目安がわかりやすいです。

●FiNCメソッドとは

小川総一郎(コーポレート本部 人事総務部)

「まったく入らなくなっていた20年前のタキシードを着るのが目標でした。プログラムが終わってみたら、ちゃんと着られましたね。ほかにも、高血圧で血圧を下げる薬を10年くらい飲んでいるんですが、ちょっと前から減らしても大丈夫になり、医者からは『場合によっては服用をやめてもいいかもしれません』と言われています。これは意外な効果でした」(小川)

金清麻由(営業本部 お申し込みサポート部)

「私もきつくなっていた新卒時代のスーツが、着られるようになりました。健康的なままダイエットでき、友達に『どうやったか教えようか?』と言えるくらいです」(金清)

川端麻清(営業本部 マーケティング部)

「太るといろんなことがめんどくさくなるじゃないですか。服を買いに行くのも、合うものが少ないから、大きなサイズがあるお店にいかないといけない。試着した服が入らなかったときに、店員さんに『いかがですかー?』と聞かれる気まずさもいやで(笑)。痩せると『小さくないかな……』という不安が無くなるので、買い物に前向きになれます」(川端)

■Q:続けられた理由は?

「私は食べないダイエットが無理なんです。でもダイエット家庭教師は、3食しっかり食べることを求められます。しっかりバランスを守って食べなきゃいけないというストレスは、最初はありました。だけど、食べられないというストレスはなかったです」(金清)

「アプリでダイエットってどういうことだろうと思っていたのですが、効果ありでした。毎日アクセスしているうちに、数字を気にするようになり、体重も日々計るようになりました。歩数計があるのも良かったですね。プログラム期間中にした運動らしい運動は歩くことくらいだったので、駅までの道のりは自転車を止めて徒歩に変更。その歩数を計ることが楽しくなりました。ここからここまで何歩ってわかると、意外と歩数が少ないんだなってことが見えるようになり、意識的に歩く機会を増やすこともするようになりました」(川端)

「ダイエットの専門家である先生方に、日々教えてもらえる安心感と、食べたものを報告しなきゃいけないっていう緊張感が大きかったように思いますね」(小川)

「行き過ぎた糖質制限のような偏ったダイエットは経験上、リバウンドするという意識があったので、最初にメソッド動画を見たときから、これは理に適っていると直感していました。だから、そもそも僕は前向きだったと思います」(加納)

またまたちなみに、ライフネットジャーナルでは極端な糖質制限に関する記事も、過去に配信しています。リバウンドしてしまう理由については、こちらをご覧ください。

●「極端な糖質制限ダイエットはダメ、ゼッタイ! リバウンドしないダイエット方法」

■Q:やっていて大変だったことは?

「ダイエット家庭教師では、基本的には3食バランスよく食べられることの大切さを教えてくれるのですが、毎朝3食きちんと、栄養バランスを考えて、朝・昼・晩をちゃんと食べないといけないのが思ったより大変でした。今までなら朝は忙しいからコーヒーだけでいいやと、適当に済ませることもあったんですけど。シリアルだけで済ませられたらどんなに楽だろうと何度思ったかことか(笑)。もちろん、1回の食事を食べなかったり、食べ過ぎたりしても、『3食のバランスを調整すること』でリカバリーしてほしいとも教わったので、心が軽くなりました」(川端)

「仕事がらみの会食はツラかったですね。中華のフルコースが出てきたことがあったんですけど、お祝いの会だったので食べないわけにはいかないじゃないですか。だからデザートもしっかり食べました(笑)。あとからちゃんと報告しましたけど、先生には怒られましたね(笑)。そして、『3食のバランスで調整しましょう』とフォローしていただきました」(小川)

■Q:自身の変化を感じた瞬間は?

「味が濃いものが食べられなくなったときですね。プログラムが始まって1か月ほど経ったら、ご飯の味をしっかり感じるようになって、素材の味に近いものを美味しく感じるようになっていました。先生にいわせると、味覚が変化したのではなく、味覚が“通常に戻った”ということらしいですね」(加納)

FiNCさんによると、最初の1か月で味覚を本来の状態に戻し、次の1か月を通じて野菜が美味しいという感覚が身に付けられることを目指しているとか。実際、ほかのメンバーからも同じような声が聞かれました。

「ラーメンを食べなくなって、定食屋さんに行くようになったり。外で食べるときもごく自然に、1:2:3の法則を守れるメニューを選ぶようになっていました」(金清)

「やっていたことはシンプルなんです。食事は野菜から食べてインスリンの分泌を抑え、かつ噛みごたえのあるもの(たんぱく質が豊富な肉や魚)を食べて満腹中枢も刺激して、最後に炭水化物を食べると量が最小限で済むと。そういうルーティーンが60日間で身に付いたということが大きくて、それによって体質が是正され、太りにくいカラダになる。たったそれだけなんですけど、シンプルだから習慣になるし、今後も続けていけそうです」(加納)

■Q:減量以外に良かったことは?

「食事の内容をコントロールするために、レシピ動画などを見て自分で料理をするようになりました。奥さんは家事の手間が省けるし、子どもからもおいしいと好評で、家族みんな喜んでくれました(笑)。食べないダイエットにはない、予想外なメリットでしたね」(加納)

「プロの栄養士さんからもらったアドバイスは今後も役に立ちそうです。忙しいときにはコンビニのサラダに頼りがちになるのですが、サラダだけではカラダによくないので、栄養士さんにどんなメニューを食べたらいいか聞いて、『このフルーツだったら低カロリーで足りない栄養素を補えますよ』などと教えてもらっていました。こういう一生ものの知識を得られたのは良かったです」(金清)

どうやらみなさん、かなり手応えを感じて60日間プログラムを終えたようです。もちろん、1人きりではなく、4人で挑戦したというのも大きかったでしょう。苦労を分かち合える同志がいることで、励まし合い、互いに見張り合いながら続けていける。

思えば、「ダイエット家庭教師」が先生とのチャットによって日々の食事を報告するシステムになっているのも、こうした“周囲の目線”を仕組み化したものといえそうです。

「社内の人に、ダイエットしていることを知られているのも良かったです。元の食習慣に戻ったら、絶対に『あれ?』って言われるから(笑)」(川端)

ダイエットを始める際には、周囲に宣言してしまい、仲間をどんどん増やしていく。それもまた、ダイエット継続の秘訣。そんなことも学んだ体験記でした。

<クレジット>
取材/株式会社FiNC
文/ライフネットジャーナル オンライン 編集部
撮影/田中玲子(FiNC)