(写真はイメージです)

日本では、罹患率が増加していると言われる「がん」。がんの治療を受けながら仕事を続ける人や、治療期間を経て仕事に復帰する人も多くなってきました。そんななかで、がん経験者本人の仕事に対する意識や、勤務先など働く環境は変化しているのでしょうか。働きながら治療する人を応援する新しいがん保険を作ったライフネット生命は、特定非営利活動法人キャンサーネットジャパンの協力により、572人のがん経験者にアンケート調査を実施しました。その結果について、「生活」「経済」「仕事」の3つのテーマで、3回にわたって紹介します。

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【調査概要】ライフネット生命保険 がん経験者572名へのアンケート調査
 [調査実施時期]2017年6月
 [調査対象]がん罹患時に就労していたがん経験者 572名
 [調査方法]ウェブアンケート
 [調査協力]特定非営利活動法人キャンサーネットジャパン

■がん経験者自身の意識の変化は?

がん罹患後に仕事に復帰した人に、仕事への向き合い方の変化について聞いた結果、75%の人が「ライフワークバランスへの意識が高まった」と答え、がんを経験したことで「周りのスタッフへの気遣いも高まった」と答えた人も52%いました。病気や治療が、仕事と仕事以外の生活とのバランスを改めて考える機会になった人が多いようです。

■がん経験者が、働く環境に望むこと

治療を続けながら働く人に対して、企業の支援はあるのでしょうか。アンケートによれば、サポート制度に満足している人が47%いる一方で、「サポート制度自体がなかった」と43%の人が答えていて、企業によって支援体制には少なからず違いがあるようです。また、30%の人が「制度があっても、利用できない雰囲気があった」と答えている点も見逃せません。

周囲の意識の問題として、「がん=死に直結するものではないと多くの人が認識すること」や、「がん患者だからということを理由に不利益・不自然な取り扱いを受けることのないよう、がんは誰でも罹りうるものだということを前提とした意識・制度の改善が必要」といった経験者の意見がありました。意識を高めるための教育・研修制度を求める声もあり、「これから従業員のためのがん検診サポートなど、福利厚生を充実させねばと思っている」と、経営者としての考えを寄せたがん経験者もいました。当事者と周囲の意識の変化によって制度も整えられていくことが望まれます。

■職場の同僚にもカミングアウトしたい人が8割以上

約9割の人が、がんにかかったことを「親」(92%)、「兄弟(姉妹)」(92%)、「パートナー」(88%)に伝えています。周囲の理解や環境が整えば「職場の同僚」にも伝えたいと答えた人が82%いますが、実際の公表率は69%でした。職場などの公の場で病気を公表するためには、もう少し理解が広がらなければならないのかもしれません。

今回のアンケートに回答した人から、次のような声が寄せられています。

  • こういったアンケートは非常に良いと思います。がん罹患者を抱える企業も増えてくると思いますので、アンケート結果を踏まえ、企業倫理も変わっていくことを心より望んでいます(30代・男性)
  • このような機会を通じ、がんサバイバーが日常生活を無理なく過ごせる環境ができることを心から願っています(30代・女性)
  • 多くのがんサバイバーの声をどうぞ活かしてください(50代・男性)

いつ自分や身近な人ががんになってもおかしくない時代。家族や職場の同僚などが、身近にいるがん経験者の気持ちや状況を理解し、お互いにとってより快適な仕事環境、生活環境が整ってくことが、がんとともに生きて行く時代の安心につながるのではないでしょうか。

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治療費と収入減をサポートする新しいがん保険「ダブルエール」

<クレジット>
文/ライフネットジャーナル オンライン 編集部