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2008年5月に日本で開業したオンラインの生命保険会社である、ライフネット生命。2021年8月に、「海外市場における募集による新株式発行に関するお知らせ」を発表しました。社内の担当チームが、そのいきさつなどについて、リレー形式でお送りしていきます。
第8回は、経営企画部の加藤が担当します。
>>第7回はこちら


こんにちは。第7回に続きまして、ライフネット生命経営企画部の加藤です。
第8回目は四字熟語に思いを込めてロードショーを語ります。

緊褌一番(きんこんいちばん):ロードショー

ロードショーとは、株式の募集や売り出しに際して、会社が機関投資家に会社説明を行うことです。エクイティストーリーが記載されたロードショーマテリアル(投資家向けの説明資料)を用いてご説明をします。経営陣が自社の魅力を投資家に直接アピールできる場であり、投資家が資料だけではわからない会社の生の声を聞く絶好の機会となります。

健康第一:1チーム体制

ロードショーは5日間のマーケティング期間を設け、社長の森をスピーカーとして、1チームの体制で臨みました。
欧州・アジア・一部参加可能な北米の投資家に対して、1on1、スモール・ラージミーティングを実施しました。
ちょうど一部海外投資家の休暇の時期と重なっていたこともあり、時差を利用しながらバランスよくスケジュールを組んでいただきました。時には朝はアジアから始まり夕方の欧州まで立て続いたり、お昼過ぎにアジアから始まり夜中の米国対応をしたり。当社の社長は37歳と上場生保の中でも若いのですが、それでも5日間の大部分を英語で対話し続けるのは大変です! 喉だけは潰さないようにとせっせとのど飴を渡し、疲労がたまっていそうなときは甘い食べ物を差し入れながら激励の言葉をかけていました。

侃侃諤諤(かんかんがくがく):投資家ターゲティング

どの海外投資家と面談の機会をいただくか。当社がこれまでに実施したIR面談の記録と、証券会社が準備した投資家リストを踏まえて、議論を重ねました。私は普段IR担当として仕事をしているので、日ごろから面談機会のある投資家がリストに加えられる度、継続的な対話の機会をいただける投資家の皆さまに感謝の気持ちが湧きました。また、なかなか面談のスケジュールが入れづらくても当社から直接アプローチを試みて、試行錯誤を重ねながらコミュニケーションを図ってきたことが、こういった局面に役に立つことができてよかったと、IRチームのメンバーに思いを馳せながら参加していました。
今回は証券会社からのアドバイスも踏まえて、既存株主の皆さまからご支援いただけることを重要視しながらも、新規投資家に対するアプローチも試みました。その結果、実際のロードショーにおいて5日間で50件超、投資家との面談をすることができました。

興味津々:投資家からのご質問

投資家からは、今後の事業戦略を中心に質問をいただきました。
当社は、今回の資金使途を、成長を加速させるため、①新規契約を獲得するためのマーケティング費用、②外部環境変化に柔軟に対応していくためのシステム開発費用、③パートナー企業との取組みやオンライン生保のプラットフォームを構築するための新規事業への投資、の3点に充当することとしています。
特に、前回増資からの大きな変化である、生命保険のオンラインプラットフォーマーへの変革、新規のパートナー企業との事業推進については高い関心をお寄せいただきました。加えて、前回から1年後という短い期間での調達であることについて、今このタイミングで改めて資本調達を行う意義を問われることも多くあり、当社の考えをしっかりとご理解いただけるよう丁寧に回答しました。

戮力協心(りくりょくきょうしん):証券会社によるサポート

緻密な戦略と投資家からの支援を得て、株式の需要は、マーケティングの初日で発行予定数に達することができました。
また、マーケティング期間中は、証券会社からタイムリーにブックビルディングの状況が共有され、投資家のフィードバックを得ながら社内でもスムーズな議論ができました。そのおかげで残りのマーケティング期間全般においても順調なブックビルティングに繋がったものと思います。

千思万考:振り返り

ロードショーは短い期間で、当社の魅力を伝え、投資家にご理解いただき出資の判断を仰ぎます。そのために、事前に証券会社・弁護士・当社で協力をして議論を重ね、戦略を練り、資料を作って準備をします。今回は約2ヶ月強のコンパクトなプロジェクトでした。
しかし、この期間に改めて「何のために当社は存在するのか」ということをよく考えました。その度に、2008年の開業時に掲げた「ライフネットの生命保険マニフェスト」を実現するために、より多くのお客さまに「正直に わかりやすく、安くて、便利に。」という新たな生命保険の価値を提供していくことを思い出し、今後も我々の活動や理念を投資家の皆さまに伝えていくことがIR活動の使命であると感じています。

経営企画部
加藤

<プロフィール>
大手生命保険会社にて保険事務(新契約査定)を担当。その後、2011年1月ライフネット生命に新契約査定担当として入社。2013年10月から経営企画部にて経験ゼロからIRを担当。2021年はレンコンの美味さにハマって今一番やりたいことはレンコン堀り体験。

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